(断片)昼夜逆転の現象学、名前だけ。/風呂奴
 
リキュール片手に黄金を語り出す。

 三日月は伸びた爪。だって、三日月は見方によってはだらし無く伸びた汚い爪って感じだから。だけど、たとえば風呂あがりの伸びた爪を思い浮かべてみて欲しい。湯上がりの透き通ってて光る爪、しかも美女の。酔いどれ舟はそこで転覆する。美人の驚愕すべき黒髪のなめらかさと、JKの豊潤な太ももや、小さな弾力の中に燃えるような夜を連想させる唇の可憐に出会った日には。そして、つむじはもはや古代文明の装飾品のようだ。美女イズライクミュージアム。


 コーラの泡で起床
 夜に泳ぐ昼
 星座に化ける星
 三日月は伸びた爪

 星たちの名前を、詳細を、光の長さを、知っていようがいまいが、きっと今夜の星空は綺麗なんだと思う。名前を知らなくて美しいもの、その名前を知ったとき、勝手に愛着を湧かせている。せっかく覚えた彼らの位置も、明け方になれば昼に溶けるけど。そして、もう朝です。だから、おやすみ。
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