星になる君とさいごの夜にいる舌の氷の溶けおわるまで/木屋 亞万
私もそれで良いと思えてしまう
宇宙人とか宇宙資源とか新技術とか移住計画とか
そんな社会の事情はどうでもよくて
工場の経営とか収益と損失とか
そんなものだってぜんぶ人任せ
リーダーとか社長とか夫とか父親とか
そんな肩書きもあっさり肩から外してしまう
君はただ飛びたいだけ
ここではないどこか遠くへ
光も追いつけない速度で
だから別れ話
旅の前には今生の別れをするのは
今も昔もおなじこと
旅はいつだって危険と隣り合わせで
徹頭徹尾安全なものは旅とは言わない
君がそう言うのだから
誰にも否定はできない
私だって君の前で
寂しいとすがり付いて泣ける
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