青空に登る灰煙/白昼夢
歩いて行く道にあの子はもういない
君はどこにいる?
君はどこにいた?
形が無くなると人間はどこへ行ってしまうのだろう。
記憶が無くなると人間はどこに行けばいいのだろう。
輝いて見えた日々は色あせて
輝いて生きた日々は鈍色に
そろそろ一年が過ぎる
こんな風が強い春の日だから
こんな風が強い春の夜だから
君に会いたい
君と同じ年になって
初めて手の届かない距離というものが分かった
遠すぎる距離
君はどこへ行ってしまったんだろう
君は行ってしまった。
手の届かない、別の世界へ。
君は行ってしまった。
声の届かない、遠い世界へ。
君は行ってしまった。
もう二度と会えない世界へ。
君の言葉も、声も
繋いだ手の感触も、温もりも
もう思い出せない
春
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