工場日記1990/浩一
 
も、黙ってヘラヘラしているしかなかった。

時には事務員の女にも、虫けらのような扱いを受けていたが、反論も出来なかった。だから、それらおっつあんやおばちゃんや、アンちゃんやネエちゃんは、いわゆる頭脳労働者に意識してか、無意識にか、底知れない憎悪を孕んでいた。ことあれば、殺しかねないほどの殺意と、卑屈な憎悪にまみれていた。

だが、お目出度い連中の中には、彼等、ホワイトカラーに阿り、阿呆の親近感を持っている者もいた。が、敬愛、しかし彼等は彼等から名前も知られていなかったのである。
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