文学的なものと哲学的なもの/kaz.
 
かが語ったという事実を分析するにすぎない。

文学的な営みによっては、あらゆる解釈は解釈でしかなく、他の解釈や疑問の提示によって揺らがされていく。そうした揺らぎの連続のうちに文学は位置している。文学は、本当のことを言おうとして、本当のことを言った後に、いくらでもそれを否定しようとする。言いたいこととは、そうして語られたものすべてであって、それらを要約してしまわないことを暗黙の了解としている。何かを語って下さい、と言われた文学者は、物語のあらすじ紹介と彼独自の読みを披露してみせるのだが、同時にその否定をも厭わない。彼の発言は一つにまとまることがない。まとまってしまうことは文学のテーゼに反するのだ
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