3×六=?/アラガイs
 
な夫婦がたまたま同じ夢をみてしまった事からその不幸は始まった。
日ノ出に躊躇う坊主の影も消えれば覆面から解放された構図は
あまりに静かな夜景が男に武器を与え、覆面を外した男から武器を取り上げられた女は互いに家の周囲を半分に割って、右側から左側へとゆっくり円を描くように反復しながら歩き周り様子を窺っている
という、そんな夢の落ち処は台所に置かれた輪切り玉葱の発汗で目が覚めた。

参=「所要につき訪問販売の一切は是に該当す」

朝方になるときまってアパートは得体の知れない大きな振動に揺れる
共に暮らす女二人のカーテンは開いたことがない
花粉症の時期になると宗教の勧誘が増えてくる
この辺りの縄張りは猫が締めている
土壌の中には野良犬の死体が何匹も埋まっている
ご近所のお葬式には情報の伝達屋が紛れ込んでいるらしい
販売員らしき姿がひとりまたひとりと入れ替わる
同時に、女だと思っていた住人はどうやら男だった 。


「応えてほしい、あなたは今日も言葉を綴り、わたしは明日も言葉を綴るのかしら」 。









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