時を告げる鐘に思いを託し/ヒヤシンス
時を告げる鐘に思いを託し、
湖上を眺める人よ。
あなたは独りではない。
見上げればどこまでも広がる空がある。
足元には名も知れぬ草があちらこちらに生えている。
今あなたは一人だが、決して独りではないのだ。
過去にあなたが残してきた足跡は、今あなたが立ち尽くしているまさにその場で止まっている。
故に、これから先あなたは自由なのだ。
あなたは強い。まだ気がついていないのかもしれない。
なぜならあなたは生きている。
荒れ狂う大海の中でも、
大蛇に睨まれ立ちすくんでいても、
暗黒の世界に投げ出されたことがあったとしても、
兎にも角にも、あなたは今、生きている。
生き
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