みちのり/そらの珊瑚
 

雨上がりなのだろう
銀色の糸は蜘蛛おばさんの手編み
透明の雫をつまかえている
どんぐりを意味もなく拾い集めて
ポケットに詰め込んでいる少女はたぶん私だ
 
「そのポケットは穴あきだよ。
詰め込んだそばから、こぼれ落ちているよ」


どこまで歩いていけるかな
みちのりは
速さに時間をかければ出てくるけれど
公式通りに
人は歩いていけるものじゃない

どのくらいの速さで
どのくらいの時間で
それを決めるのは自分自身で
歩くのを止めて
こんな風に猫バスを待っていることも
案外素敵なことなのかもしれない

不思議な夢を見た朝は
逃げていく蜃気楼を見送るような気分で
悲しくないのに泣いていた
胸の奥が
切なさに侵食されたようだった
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