光の糸/灰泥軽茶
 

舐めるのに夢中だ

大きな光り輝く黒い石に近づいていくと
大人の背丈より倍ぐらいはあるような
つやつやした角の丸い立方体で
階段のような登る場所は一切ない

はてさてどうやって登ったのだろうと
黒い石に寄りかかるとそのまま吸い込まれ
ゆっくり掻き混ぜられるように
中心に向かって昇って行き
いつのまにか体も
クネクネ掻き混ぜられていき
ネルネル意識はひきのばされてゆく

ふと下を見ると
さきほどの子供がまだ美味しそうに光の糸を
人差し指でひょいひょい絡めてすくって
舐めるのに夢中だ

私の意識は
だんだん細く光る糸のようなものになっていき
上にゆっくり螺旋を描き昇るにしたがって
どこか懐かしい気持ちと
自分と似た誰かが待っているような気持ちにさせられ
大きな光りの渦に融けてゆく



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