さまよう鬼/そらの珊瑚
 
のです。

人の運命の儚さを知ったのは
父上が謀反の罪をかけられて
一族郎党
自分が何者かもわかっていない乳飲み子までもが
無慈悲にも囚われ
三条河原で首をはねられた時です。
そのとき、河はわたくしたちの血で真っ赤に染まり、
のちに赤い川魚(カワウオ)が採れたそうです。
首はそのまま捨て置かれ
蛆が湧き、
醜く腐敗し、
風雨にさらされ、
最期は白い骨となり果てました。
そのままわたくしは鬼となり
このように現世(ウツシヨ)を彷徨って(サマヨッテ)いるのでございます。
人の心のほんの隙間に生まれた、
どす黒い感情を渡り歩いて、生きながらえているの
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