さんせっとららばい 1 せつないセレナーデ/凪 ちひろ
君の真似をしても
君の真似でしかない
好きな人になりたい
それはまともな欲望だけれど
「わたしはわたしでしかない」
それも言い尽されたフレーズだなぁ
愛することはとても自由で
愛することはとても窮屈
あなたの側でただ笑っていたい
あの夕暮れに瞬き出した小さな星のように
誰かの幸せを願える人でありたかった
ありたい
今もそう だけど 弱い心は
夜の闇にのみこまれていく
本当にさみしい人は
もっと他にいるはずなのに
自分が今いちばん不幸せな人間に思えてしまったら
空を見上げよう
移りゆく空を
あんなにも広くて
あんなにも深い色で
世界を包んでいる
届かない言葉
飲み込んだ言葉
いつかセレナーデにのせて
吹けない口笛を吹いて
風にのって飛んで行こう
そこにはきっと見えない世界
両手広げて 待っているから
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