時計/寒雪
時計は
明日に向かって新たな時を作り出していた
時計の針はいつまでも回り続けている
そう思っていた
早朝にぼくの眠りを破った
携帯電話の着メロ
電話の向こうから聞こえてくる言葉は
ラジオのノイズみたいで
いつまでもぼくの脳味噌に意味を与えてくれなくて
ぼくの時計と同じように
今日も動いていたはずの
きみの時計は明日を刻まずに
永遠に針の位置を変えないまま
止まってしまったきみの時計は
どこに流れていくのだろう
立ち上る煙と交わる雲を
見ていた瞳が次第ににじんでいったのは
たぶんぼくのせいじゃないと思う
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