三面鏡/
そらの珊瑚
た自分の顔を
見ることしかできないのです
ほんとうの自分の顔を
外から見ることは永遠に叶わないのです
ほんとうの自分の顔
それは知ってはいけないものだからでしょうか
「サガセ、サガセ」
「サガスナ、サガスナ」
三面鏡を開くたび
無表情な顔の中のひとつだけ
どこかでにやりと笑っているんじゃないだろうかと
そこはかとない
怖さがあったのを
今も覚えているのです
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