空中庭園/未有花
 
はそのお礼のように
毎日僕に綺麗な歌を歌ってくれた

最初のうちは蒼褪めた君の顔を
眺めていられればそれで良かった
だけど君の翼の傷が癒えて来るたびに
募る苛立ちに僕は我慢がならなくなった

君の歌う綺麗な歌も
日を追うごとに耳障りに聞こえて
時折見せる君の笑顔は何て醜いことか
蒼褪めた君の美しい顔はどこへ行ってしまったんだろう

傷が完全に癒えた日
君は当然のように帰ると言った
だけど僕はそれを引き止めた
本当は帰って欲しかったけれど
君がいなくなるのに一抹の寂しさを覚えたから

すると君は嫌らしい笑みを浮かべて
君がひとりぼっちでかわいそうだから
もう
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