「異邦人」読後/浩一
 
私はこのひろい地球の上の
とある小さな町の
しがない場末の路地裏で
息をしていた

ムルソウ あなたは一枚の澄み切った鏡のように
事件の渦中にありながら
しかも周囲をあまねく映し出す
そして そうした自分を
遠く はるか遠く
この世とも思えぬ場所から視ていた

愛と憎悪の危うい均衡

あなたの沈黙には
鋭い叫びが隠されている

あの老婆の顔の皺をつたい落ちる
弔意の涙を凝視するあなたの視線は
いまにも壊れそうだ

引き金をひくあなたの指
死にたがっている
あの滑稽な判決を袖にして
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