孤影 / 遠く飛び立って行った白い鳥/beebee
が鳥を支えた
鳥は一群の群れを率い
白い影は陰影を湖沼に映した
彼は王者のようだった
幾多の時間を
鳥は仲間と暮らした
仲間が自分だった
自分が仲間だった
力強い飛翔が
幾度も仲間を南へ連れて行った
身体には生命の確信が満ちていた
季節を変えてまた
仲間を北へ連れて帰った
いつしか連れ添う家族を守り
それでも群れの先頭を飛んでいた
白い鳥よ
おまえはいつしか年齢を取り
孤独を湖沼に映すのだった
広い沼地に降り立ち
すっくりと立つ
年老いた白い鳥よ
瑞々しく太かった羽根は弱り
丸々と太って見えた身体が
かさかさになって薄く細って見えた
鬢は擦り切れて乱れていた
ああ風はあるのか
白い羽根が風に舞っている
年老いた白い鳥は
頭を上げ青空を見上げている
すっくりと立つ白い鳥の
心は大きく羽根を拡げていた
それは白い鳥の想い
青空を巻いて
大きく旅立って行ったのだった
手元に一本の老いたる羽根を残して
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