虚空へ/はなびーる
 
       剥がしても

どんなに剥がしても
もとの顔は現れない

そのうちに
お父さんとお母さんだった人は

        ケケケケケ……

 ヒヒヒヒヒ……

と笑いながら
あなたの名前を呼ぶこともしないで

新聞も飲みかけの紅茶も
ベランダの布団も可愛い黒犬の散歩も
何もかもほっぽらかしてしまって

てんでに
虚空へと
飛び去って
しまうのですから!



                     (旧作)


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