墓について/salco
けでは決して満足しない
心という、湿った暗渠のみに死者を生かし続ける事に
慰めは見出せない
何にも代え難い存在は、
この閉ざされた頭蓋から解き放ち
何者かに委ねなければ
空虚に血を流し続ける我々の心に平安は降りない
あの世の地主は神であるに違いないが
それは論拠の補強材に過ぎない
神なしで、我々は去った者達に毎日毎日呼びかけている
「そっちはどう? 楽しくやってる?
あなたがいなくて寂しい
毎日がつらいよ、生きているのは
でも待つね、再た会えるから」
本当は今すぐにでも会いに行きたいのだが
自己保存本能の他にも人間は
悲しい諸事情に縛られ
地上から飛び上がれな
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