水槽部屋/山中 烏流
 

 集めた君が
 今
 ここで
 括ろうとした首
 ひたすらに朽ちようとする
 この部屋を這い出して
 伝えようとした、細い腕に伸びる
 傷


 酷く優しい、だなんて
 言うなよ、だなんて
 なあ
 
 
 
 擬音ばかりを口に運ぶようになった
 あの日
 君を
 殺してしまいたかった
 
 いっそのこと
 君が死んでしまえばよかった
 
 
 室外機の低く唸るような子守唄に
 頭を打ちつけながら
 玄関を叩く
 何もかもより、君を選んで
 私の
 湿りきった
 たくさんの、幸せな未来を描いた、言葉で
 君を
 溺れさせてしまえば



 唇を噛み合った
 君の背景が、途端にふやけていって
 遠くで
 澄み切った鐘が鳴る

 
 窓の外に架かる虹を指して
 君は
 何度も、繰り返し、
 投降を叫んでいる}










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