草花たち/北野つづみ
 
のだときみはいう
(誰かが踏み拉かれなければならないのだと
英雄なんて一人足りとていらないから
みんな自分のためだけに生きてよ
叫びは届かず
いつも名もない草花たちだ
真っ先に刈り取られ棄てられるのは
なぎ倒され焼かれ その灰が撒かれるのは
いちばんきれいな気持ち 質に取られて
耐えることが習性になっている
受け入れることを潔いと思っている
(思わせられている
その不公平に不条理に
なぜ異議を唱えないか
(疑うことすらしないのか きみたちは

痛みはいつでも遠くにある
 (自分のもの以外は
踏み拉かれる者は容易く踏み拉く者に変わる
 (きみはわたしの足跡に咲く花


なぜだろう ひとりで上って行きたい丘がある



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