優しく哀しく世界をうたう/梅昆布茶
 
僕は何者だろうね

木々を揺らす風ほどにも君に触れない

愛を語るほど詩人になれない


スケアクロウがお似合い

僕の言葉は藁人形の独白


ホイットマンにもアレンギンズバーグにもなれないし

世界を君にどう説明しようか


一杯の紅茶のなかに世界はある

君の左耳にほくろがあるのを知っているように

簡単な構造のなかに世界は詰まっている


説明する言葉が無いだけなのだね

素粒子論も反物質も関係ないし

欲しいのは君の実在


街角で待っているのは安いおんなじゃない暖かい

きみ



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