閉店した花屋/ayano
 
さな生きる手は融解し
針は背筋をのばした
 
   ディリリ

今朝も花鋏を手に 朝をむかえた

窓に水滴がなるまで
まっていようね

黄色い部屋はわたくしを焦がします
青い血液はあなたが死んでから赤く通いました


娘が風邪をひきました
わたくしにはそれさえも愛おしく
あの子を抱きしめると心臓をとめてしまう気にもなります
不器用に歩いて まま だなんて


   *


家族で公園に行ったことがあります
わたくしの手を引く人の、きらめく背中を懸命に追いかけて
煙草から吐き出される煙はやがて
ボーロに変わって娘の小さな口に届いたようでした


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