水の町の女にさようならを言われる/オイタル
なたはお出かけなさい
これから
その細い水路を
ごうごうの水が落ちていきます
それからその上に
光る雪が蓋をします
そうしたら もうおしまい
私は
私たちの時は
だから そうなる前に
あなたはお出かけなさい
始まりの夜へ
ゆるく澄んでいくその水を飲んで
さようなら
女の消えた窓に向かって
手を伸ばした
夜の紫陽花のような靄に向かって
石を投げた
やがて
雪だ
縁石の影から
小さなものもすり寄ってくる
水をお飲みなさい
この町はたっぷりの水が
流れていく町だ
その水を
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