ああるえくうすせぶむ/根岸 薫
 
手は
裸眼のあやうさから脱却をはかった
ついきのう、積み木の砦を壊したばかり
 ガウディがさ、とかって、わざとこちら
に聞こえるようにつぶやくところがすごい
気にさわるんです
 ガウディがさ、とかって、わざとこちら
に聞こえるようにつぶやくところがすごい
気にさわるんです
しかも、勘違いしながら(ひとりよがり)
つみかさねた経験と、塵の歴史で
これ、を
いま
加速させる、
こんな無機物ないきものよ
そして
いつもと同じ箇所で

 吼えた

脚に相当する部分の、その
じんるいあるいはそのほかをはこぶちから
進化の過程とその先端
中、のほう
内臓の最奥から
突き上げてくる
激しい慟哭は
峠の大気を大きくふるわせ
わたしの弱くしめった腰に
うねるような振動を
絶えずおくりつづけている

(よしんば、って、
 つかわない?)


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