ああるえくうすせぶむ/根岸 薫
 
五分(時刻の)

いつものように
目の前の壁が
外の空気を押し出せば
それまではり付いていた枯れ葉が
ぺっと離れた

飛んで、     もう見えない

にぶくかがやく銀のからだが
うごきだした
それはそれはうつくしい流線型です(誰?)
2月の、荒れた路面を流れて、
たどる
山へのみち

 (サンドイッチマンのひと、)
 (もう家に帰ったかな?)

電柱の蛍光灯から
雨粒を通り抜け
フェンダーへ降下してきた、
数つぶの光の粒子を
羽の左端がかるくひきずり
闇へと放していく

まるで
さえぎるものもなく
這うように
なめらかに
すべっていく
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