すべての孤独な魂へ/梅昆布茶
 
ひとなみのなかにまぎれて君は息をしている

不毛に時々は悩みながら歌をうたうのだね

小さな偽善の積み重ねが君の鎧

教会の鐘がなっているこの世界で

盲目のままで生きてゆく


以前お見合いした東京の画家るんちゃんはアンヴィエンス

彼岸と此岸の境界を描いているのだといった

僕はと言えば現実にドップリつかり塀のうえを辿る野良猫紛いだ


酒が唯一の救いで薄汚い女と遊ぶ堕天使にもなれない魂なのだよ

光と陰の画家が陰影と色彩を模索するように

僕はこの世界のぼんやりとした輪郭をなぞってゆく


君の見えない眼で捉えようとするものが愛だとしたら

それは不気味な陰でしかないのかもしれない

また得たいのしれない男に堕ちてゆくのだね


教会の鐘がなる

魂を弔うように

そして僕らは汚れたままで愛を語る

孤独なままで






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