柴犬のいた日々より/梅昆布茶
僕が資材調達課で関根さんが天体望遠鏡を組み立ていた頃総務の峯岸さんが3びきの柴の仔犬をもらってきた
工場の片隅食堂の裏の朽ちかけた木造の社員寮のあたりでわんこは皆に可愛がられながらコロコロと遊んでいた
近くには卓球台もありあきこ嬢やみねさんや僕や出口さんなどが昼休みわんこをかまいながらたまをうちあっていたっけ
あきこ嬢はのちの僕の嫁さんだが
大の犬好きで我が家でもシェルティやら雑種やら飼っていた
18年一緒に暮らしたあきこ嬢は信仰あつき人で僕の不信心が最後まで気に入らなかったようだ
とてもいい娘だったけどね
仕事をうしない吉見の家を手放してきみも僕から
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