寒いアロワナの星/根岸 薫
 
るい友人は
沈んだ船の
せまいところで
浮き輪をたしかめている

  ◆

新聞は
どこ、
ですか

  ◆

だれもみなゆきばをなくして

鳥だけがたかいところにいる

  ◆

あいにくの雨に
うたを歌えば
積み上がり
虚像かも知れぬ
橙色の雲を
それぞれ抱えて
帰っていく声たち

  ◆

誰も知らない
寒い月夜の
かわいた公園
病気の
なかまたちが
むしのように集まり
今夜も
ゆるい泥であそんでいる



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