遺伝子解読/木原東子
 
形も悪いそうだよ」
悪口ではなかったのだ


Yはそんな色々をたんたんと受け入れた
まったく傷つかなかった、そんな自分なのだと
客観的な判断を


そうじゃない、ひとつ傷ついたことがあった

子どもの遊びで、オトートを「大鼻赤男」と名付けた
得意になって何度も呼んだ

「自分じゃないの」
夕子の声が後ろでした
オトートを守ったのかもしれないが


傷ついたが、それも受け入れた


生きて来た各年代で
あらゆるへまをやりながら
当然の報いをうけながら
よくもここまで受け入れて来た


それこそが大雑把の性分の為す業か
自分の何を信頼しているのだろう

それすらもわからないほどなのに
盤石の石に座っている

戻る   Point(10)