遺伝子解読/木原東子
形も悪いそうだよ」
悪口ではなかったのだ
Yはそんな色々をたんたんと受け入れた
まったく傷つかなかった、そんな自分なのだと
客観的な判断を
4
そうじゃない、ひとつ傷ついたことがあった
子どもの遊びで、オトートを「大鼻赤男」と名付けた
得意になって何度も呼んだ
「自分じゃないの」
夕子の声が後ろでした
オトートを守ったのかもしれないが
傷ついたが、それも受け入れた
生きて来た各年代で
あらゆるへまをやりながら
当然の報いをうけながら
よくもここまで受け入れて来た
それこそが大雑把の性分の為す業か
自分の何を信頼しているのだろう
それすらもわからないほどなのに
盤石の石に座っている
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