吾郎/長押 新
 
ばりながら腐りかけの労働力を、軽蔑する。私の倍の時間働かされたとしても、嘔吐するためだけに食べるだけではないか。g.uで買った安いジーパンと四年前にUNIQLOで買ったパーカーを羽織り熊のぬいぐるみを、連れ出た。熊のぬいぐるみは飢えを感じない。汚れた顔を押し付け三百二十円を払って電車に、乗った。化学で固まった電車に乗りながら景勝を、眺めた。私の住む町から見える遠くの山が傍を流れる緩やかな川と一目に、映った。この景色の労働力は私よりもぬいぐるみの吾郎よりも高いはずだ。
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