ゼブラの思い出/salco
 
れたのか
飲む時ぐらい独りがいいのか
連れを伴う事はない

一度だけ、口あけにシラフで来た
ツケを清算しにだ
顔色が蒼く、静かな語り口で
紳士どころか、瞬きも涼しく含羞があり
過度の飲酒はこの辺に因を発するらしかった
カウンターの一隅で
いつもの二合徳利を二本、三本と空ける内
内なる山月記に変貌して行った
顔がいつもの色になっていて、寡黙になる
目が据わり、反応が絶える
やがてクダが回り始める

「注ぎなさい」
「メイゴッドブレスユー」
「うちのバアさんがやりたがって仕方ない」
「風呂で指(中指)を使え、指を使えと…」
「小田急の百合ヶ丘の手前に、イク田とい
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