金色のライター/あかり
空っぽになったブラックニッカの瓶が
足元に転げ落ちて
パッケージのおじさんが
あたしを見上げて 笑ってた
ライターは探せば探すほど
見つからない
もう、泣きたいくらい 煙草が吸いたいのに
瓶を蹴飛ばしたら
塗ったばかりのペディキュアが剥げた
その肌色を みたその瞬間
あたしは急に途方に暮れた
忘れよう、と したわけではないのに
ただ ほんの一瞬 気を抜いて
ぽつん、とそこに 置き去りにしてしまった
自分で置いた その場所に
今はもう 辿り着けない
また新しいのを 見つければいい
でも ほんとは
とってもとても お気に入りだった
とってもとても 大好きだった
部屋を掻きまわす そのうちに
あたしはとうとう 泣き出した
煙草が吸いたい
あなたに会いたい
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