【連詩】空を飛ぶより楽しいこと/メチターチェリ
流れていた。雲がながれるようにぼくたちもふゆうして、人なみに飲み込まれていた。生え変わったばかりの翼。ながれる風を全身で受け止めていたつもりだったけど、旋回は困難を極めた。どこに着地をすればいいのだ。迫りくるたそがれ。
息をすって、ぜ、つ、ぼうと発音したら、僕たちはどこにでもゆけなかったけど、なにそれ、とうみねこが鳴いた。そして僕たちは手のひらにうけた灰をまた撒きちらしていく、戻れる空をわすれないように、止まない昼を夜をうらむみたいに、ランドスケープが光を落とす方に。
僕は偉くなりたかったのだ。無敵で、黄金で、羽をのばせば地球も見えた。吐いた息をふたたび呼吸し、頭から白い湯気を出しながら進んだ。ずいぶん遠くまで。おおむねは光のさすほうへ。昼と夜のさかいめは案外さびしい。僕は景色を封印した。
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