青森行き/木原東子
 
で原野である
緑の土手にきらきら小川が歌う
りんごを山ほど食べた
鹿児島ではちびちび前歯で齧って食べていた

美しい顔立ちの遊び友達
片親だったが
どんな人生が待っていたのだろう

そういえば
鹿児島にも片親の愛くるしい遊び友達がいた
父親の居ない子が多かった

Yの父親が定職を得たのだった
クリスマスにピンクの小さなタンスを
買ってもらった、人形の服のための

弘前で見た桜
こんなものがあるのかと見上げた桜

次の冬が来る前に
突然Yの父親が転勤となる

日本海沿いに
蒸気機関車で南下した
どこまでも寒々しい海
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