夫の夏/長押 新
オホホホホホ、
マアこんな時間だワ!
帰らなくっちゃ
帰らなくっちゃ
帰らなくっちゃ
日焼けした夫が
冬になる前の、今日のような、
黄色い夕方に、
うんと、沢山の、
栗やら、芋、
鮭、秋刀魚やらを、
シビックのTypeRに詰めて、
秋を、
連れてくるんですノ、
横腹に、まだ若い落ち葉を付けて、
シルバーの、シビック!
聞こえる、夕立の音、
少し錆び付いた、ブレーキの、
音、
夫の、足には、ビーチの砂が、
着いたままですけれども、
濡れたサンダルは、
海の匂いが、消えてしまっていて、
玄関で、靴を脱ぐと、パラッ、
パラッと落ちるんですノ、砂
その
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