ごあいさつ/はだいろ
 
彼女のご両親に、
挨拶に行った。
なんかのイベントのとき、
雨が降ることが、そう言えば多いので、
ぼくは雨男なのかもしれいないと、
傘を持って、
部屋を出るときに思った。

5000円のフルーツ詰め合わせを、
手みやげにと買ったら、
やたらと重かった。
総武線と、山の手線と、
有楽町線を乗り換えて、
初めての駅の改札を出たところで、
彼女に電話をかけて、
実家まで、道案内をしてもらう。

壁の赤い、趣味の悪いタイヤ屋があったり、
東京も、
ちょっと都心を離れただけで、
じつに中途半端な田舎になるものである。
彼女は、実家の近くに、
マンションを買いたがっ
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