白文鳥/乾 加津也
 
朝ひとつ
文鳥を買う
老朽の小鳥店で囀るけたたましさに呆然として
毱のような歪んだ標(まと)を見上げた

アクリルを
内側を
痛めつけながら悲鳴(いのち)は
雛たちから剥がされ

まるでバナナ箱を重ねるかのように
手荒で間に合わせの棲家から
どんどん床までの筋をつくって互いに絡みたがる
裂かれた空間の向こうから充血は光を吸着する
湯浸しの粟を何度流しこんでも
空洞を上下に振動させるばかりで
闇雲でもなんでもいいからいのちを象りたいですという
虚勢

わたしが買えば
力なく
くだと直角に交わる平原に移住するのだろう
内耳をとおるたびに
濾さ
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