旅路/
yuko
根を
はり
空をおよぐさかなでした、
足元の
泥が
やわらかく
あたたかく
湯気のなかをほどけていく
わたしたちの瞼に
そっと
ひかりが落ちる
蕾を
刈り取る指先の
止まる
たび
おかあさん、
それでいいのだと
扉をあけるしぐさで
何度でも呼びかけたい
耳元の窪みに
ぴたり
張りついた
水脈はゆたかで
初夏のみどりが
またたいて
揺れる
遠い夏がかおる、
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