うらみはらさで/Seia
でもと思ったけど
マスターに声とどかないわ
そもそも飲めるのかわからないわで
夕方の町を誰にも気付かれずに
すたすた歩いてみたけれど
それはもともと死ぬ前と
さほど変わらない気がして
死ぬ前、死ぬ前といえば
私の一切、一生を
忘れている事に気付きました
これじゃあ
うらみどころの話じゃない
私はどうやって死んだんだろう
私は何故死んだとわかってるんだろう
私は一体だれだったんだろう
私は何故ここに透けながらいるんだろう
うらみはらさでおくべきか
その言葉を言える人もなくて
うらみはらさでおくべきか
そんな言葉ですら言いたくて
ある日私は死にまして
ふと気付いたら
地面で寝てまして
きっとこれが天国かと
回りを見渡すと
そこにはただの日常があって
平日お昼の町並みがあって
そこから
そこからしか私を知らない。
少し透けた、私の手しか私を知らない。
戻る 編 削 Point(7)