魂の行方/菜穂
 
当たり前に動く この体も
ずいぶん使い果たしたものだ
これは借り物の器
自分の物であるのは魂だけ

それすら神に与えられた奇跡なら
空気に漂う気配だけが
己自身なのかもしれない

人の心に残る残像だけが
生きた証

器がなくなった魂は
いったいどこへ行くというのだろう


自分である事も忘れ
風となれ

すべてを捨てて
一粒の命と化して
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