忘れてはいないのに/「ё」
部屋はガラクタに埋もれている
その中に居るのは昔の私
怒りと怨みに歪んだ瞳を私に向けて
呟く
「如何して笑っているの」
大好きな音楽を聴いたり
大好きな友達と遊んだり
大好きな恋人と過ごしたり
本当は私に
こんな風に楽しく笑う価値なんて
無いのではないかと思う
愛されない
愛されていないと
子供ながらに感じたあの頃
私は飛び出した
玄関の扉を開いて
冷たい孤独な夜へと
あの頃の私は泣いている
それを助けることが出来ない
今の私は笑っている
笑っている、涙を隠して
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