低気圧/アラガイs
 
なるかもしれないと…
…紙コップの熱い珈琲がステントを突き抜けて胸に凍みてくる
見送っていた母親が遠慮がちに腰をおろすと、足をずらして遠くを眺めた
赤い毛のマフラーは少女には暑すぎた

季節を通りすぎる風は酸味だけを残し
闇に輝く青い毛をなびかせて稜線を駆けてゆく……あの白い雲のなか富士の頂きに登ってみたい……
…鋼色の学生服を気取るころ
何故か咄嗟に見知らぬ女学生の手を引いた
五合目の写真を遺したまま、曇り空をみつめるわたしがいる



… 。



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