風見鶏/
斎藤旧
を探しに
一羽の風見鶏は
脳の気にそぐわなかった
錆び付いて動かなかった
もう一羽の風見鶏は
私の気に入らなかった
派手な色塗りがあって
ただの飾りのようだった
風見鶏はけたたましく鳴いた
ここにいる、ここにいる
しかしさみしいことに
脳に耳はなかった
私が聴くことしかできなかった時の声を
脳は電子回路にして聞き取った
脳は頷いた
これが風見鶏と
帰りの電車の中で
脳はうたた寝をした
夢をみる
風見鶏の夢
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