言葉をめぐる熱狂 第三楽章/佐々木青
 
秋! もう冬!

欠如した睡眠能力が朝を迎えるまでこの夢から帰してくれない
夜は粘ついた手で全身を撫で回していく
見ろ
ベットのランプに群がる闇ども
あれが夜の正体で
あれが僕らの言葉だ
知られていないが
あれが言葉の姿だ
僕らの夢を食い散らし
〈夢〉そのものに成り果てようとする
だから僕らは夢を覚えていない
あいつらがみんな食ってしまったからだ
夢を思い出す
夢を語る
夢を綴る
「もうあなたなしじゃ生きられない!」

詩人も歌手も小説家も
果ては異国の魔術師までも、
最後にはあなたを愛するしかなった

あなたの手に接吻をさせてください

願わくばあなたの血肉をお分けください と

   完

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