空腹殺人/
長押 新
腹が鳴っていた
腹が鳴っていた
私は舌舐めずりして
昔から知っていた通り
指先を剣にして
そうやって人を
刺していたのだ
腹が鳴っていた
腹が鳴っていた
死んだ人はちっとも
動かないでいて
顔には出ないけれど
とても恐れている
腹が鳴っていた
腹が鳴っていた
底の方にこびりついている
届きやしない悲しみが
生きている方に流れ込む
満たされると急に
辺りは静まりかえっている
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