白昼夢/麦穂の海
 
まれるような
鈍い感覚が広がる



「どこに自国民に銃を向ける国がある」

いや
ちがう

そうじゃない
分かったんじゃないか

そんな「国」なんてまやかしだったのだと

あの時
すべての発端となった

ここ
北の森で
神の火が爆発した
2011年だって


リビアでは自国のデモ隊を
自国の軍が空爆したのだ

あの時は遠い空の下の出来事だと
思っていた

そうだ
別に人間が違うわけじゃない

どこでだって
起こりうることだったのだ


「“国家”とは暴力を正当化できる装置のことである」


と言ってた学者の本を

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