その嘘を信じさせて欲しいと思う/村上 和
 

人さし指を一本立てる

この指とまれ

誰もいないのに
誰かが握ってくれる

幽霊みたいだ

少し怖い
けれど優しい

声はない
音もない

気づけば
蝉も鳴き止んでいる

一週間という生涯は
楽しかっただろうか



月を見上げる

下弦

今夜は泣かない

影に消えて行こうとしている兎が
私に手を振ってくれている

優しいね
ありがとう

さようなら



いや
お餅をついてるんだった
恥ずかしい勘違い

私は眼が悪い

滲んでるんじゃない
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