天の川を踏みながら/長押 新
 
こに/いんのさ?
▲それは/落ちてきたから/だよ
▲あなたは/なんでここに/いるのさ?
▼それは/お前と同じで/拾ってもらったからだよ
▲ふうん/落ちていたの?
▼落ちているところ/だったのさ
ある日/私の目に映った黒い点の中/軽蔑の眼差しの深いところでは/点にも成らない点が蠢いていた/私の瞳/目の球の大きさしかなかった黒い点の/小さな点の中に/こんなに広い世界があって/吐かれた唾を踏みながら/うようよと歩いている/此処は本当に不思議なところで/私が泣いていたようには/誰も泣いていない/立町の古いラブホテルから聞こえる喘ぎ声が/似たような抑揚を孕むのは/似たような抑揚を聞き分ける私の耳
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