リアリティを追って/
シホ.N
僕には何かが見えている
例えば
ときどき視界の隅を横ぎる
小動物の残像
虫たちの群がり
風の色
人々の悪意
悪魔の顔だ妖精の舞いだ
僕には聞こえるのだ
内なる声の
閉じこめられた混乱
僕のまわりに空気はない
ただ暗闇であり
宇宙のように
僕は体をあずけた
人の影も声もなく
漠々たる真空
遠い彼方で揺れている光
追いかけるたび遠ざかる
あれが
僕から逃げてしまった
リアリティというやつ
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