1872年 足の裏/長押 新
 

朝早くのまだ太陽が有頂天でない時刻に、New zealandの片田舎の都会。裏路地の階段の下に住んでいる少年、足の裏が靴の底よりかたいのよ、サンダルを盗んでいったらいいんだ。虹色に騒がれた名画のように、足の裏は価値がある。無名ではしかと丈夫すぎだ、描けそして。もし、それが、可能、なら。サンダルを盗んでしまえ。さて空に、お眠りとぷかぷかしていた若くひょろりとした怪盗はそれを快く引き受けた。黒く漂う愉快が流れてきたのを払いのける。浮かんだ思想ホッチキスでとめるのに忙しいので、と怪盗は心の中で少年を半分(はんぶん)とよんだ。セニョール半分。ワインばかりを飲んで育った怪盗は足の裏がやわらかい。白いセエ
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